文字 - BEGADKEPAT とシュワー -
シリア語文法で超重要な原則です。これを知らねば、シリア語の単語をロクに発音することはできませんので、しっかりマスターしておく必要があります。
BEGADKEPAT
閉鎖音p, b, t, d, k, gとその相対摩擦音ph, bh, th, dh, kh, ghは合わせて「BEGADKEPATの文字」として知られ、相互に限られた状況で現れます。
■二重子音⇒閉鎖音
■[-子音]+[…]⇒[…]は閉鎖音
■[-母音]+[…]⇒[…]は摩擦音
■二重子音⇒閉鎖音
BEGADKEPAT の子音が二重子音(ダブル)の形をとるとき、決して摩擦音にはなりません。たとえば、-pp-, -bb-であり、これらは-phph-, -bhbh-となることはありません。
neppel 、 saggi 、 meddem
neppel 、 saggi 、 meddem
■[-子音]+[…]⇒[…]は閉鎖音
文中でも単語中でも、子音が先行するときBEGADKEPAT の子音は閉鎖音となります。
malkā 、 men bar
malkā 、 men bar
■[-母音]+[…]⇒[…]は摩擦音
文中でも単語中でも、母音が先行するときBEGADKEPATの子音は摩擦音となります。
neplet ⇒ nephleth
hāpek-nā ⇒ hāphekh-nā
ebad ⇒ ebhadh
bnā baytā ⇒ bnā bhaytā
nektob ⇒ nekhtobh
neplet ⇒ nephleth
hāpek-nā ⇒ hāphekh-nā
ebad ⇒ ebhadh
bnā baytā ⇒ bnā bhaytā
nektob ⇒ nekhtobh
シュワー
定義上「母音」というと、それはシュワーを含みます。シュワーというのはアクセントのない曖昧な母音のことですが、BEGADKEPAT の子音の摩擦音に絡むモノですので、シュワーの位置は予測するようにしなくてはなりません。
■語頭の2子音の連続
■語中の3 子音の連続
■シュワーの存在予測
■語頭の2子音の連続
- 語頭で2 子音が連続するとき、2 つの子音の間にシュワーが想定されます。
ktab ⇒ kěthabh
ʻbad ⇒ ʻěbhadh
tpalleg ⇒ těphallegh
- こうした語の2 文字目がBEGADKEPAT の子音である場合、その文は摩擦音となります。上のktab を例に見てみましょう。これはk とt の2 子音で始まるから、シュワーがk とt の間に入り、t は摩擦音th となります。さらにb は母音a が先行するため、摩擦音bh となります。
[kěthabh ]
- これに接頭辞da- がつくと、da-ktab となります。k は先行する母音a のために摩擦音kh となり、t とb も依然として摩擦音th 、bh となります。
[da-khěthabh ]
- さらにその前に接頭辞wa- がつくと、w-da-ktab となります。w とd は連続する2 子音であるとみなされ、その間にはシュワー(ě )が入ります。もちろんシュワーの影響でdは、摩擦音dh となります。
[wě-dha-khěthabh ]
■語中の3 子音の連続
- 語中で3 子音が連続するとき、シュワーが2 つ目と3 つ目の子音の間に入ります。
madbrā ⇒ madběrā
hallket ⇒ hallěkheth
atttā ⇒ attěthā
makkkat ⇒ makkěkhath
■シュワーの存在予測
- シュワーが入るか入らないかは、完全に予測できるものではありません。そのため、当サイトでは混乱を避けるため基本的にシュワーは表記しません。なお上記の原則以外の、よく知られる例外については、そのつど記載していきます。
その他
BEGADKEPAT とシュワーに関係する、その他のルールを紹介します。「その他」と言えど、重要な決まりばかり。最低限、これくらいは必ず覚えておきましょう。
■シュワーと語形論
■接頭辞のルール
■BEGADKEPAT
■シュワーと語形論
- 「語頭の2 子音の連続」のルールは、語形論の領域を超えることはありません。例えば、baytā という語で考えてみましょう。語頭のb は文頭あるいは子音で終わる語が先行するかぎり、閉鎖音です。
しかしb- のような前置詞が前に入ると、前置詞b とbaytā の間にシュワーが入り、baytā のb は摩擦音となります。
b-baytā ⇒ bě-bhaytā
- この法則は、語形の上でb とbaytā が別モノとみなすがゆえに生じます。つまり、b-baytā をbě-bhaytā として認識しても、bbaytā という一語で認識することはないのです。
■接頭辞のルール
b- のような接頭辞は、従属する語の音によって、少し音を変えることがあります。そのケースを、以下に紹介しましょう。
- 従属語の語頭-(子音)+(母音)
このとき、接頭辞はシュワーを伴って接頭します。これは「語頭の2 子音の連続」を避けようとする上述の原則に基づきます。
l + malkā ⇒ lě-malkā
b + baytā ⇒ bě-bhaytā
- 従属語の語頭-(子音)+(子音)
このとき、接頭辞は母音a を伴って接頭します。これは語頭において子音が3 つ以上、連続することを避けようとするためです。上述した「語中の3 子音の連続」とは異なるので、注意。
b + mdittā ⇒ ba-mdittā
w + ktābā ⇒ wa-khtābā
- 従属語の語頭-(ālap )
このとき、接頭辞はそのまま接頭し、ālap の母音と同化して発音されます。
b + urḥā ⇒ burḥā
以上の例から分かるように、BEGADKEPAT の子音で始まる語に接頭辞が加わった場合、語頭子音は必ず摩擦音となります。
■BEGADKEPAT
ここではBEGADKEPAT の例外のうち、頻繁に出てくるものを2 つだけ見ておきましょう。動詞の形には原則にそぐわないものも幾つかありますが、それらは現れるたびに記載していきます。
- 女性形語尾-tā
女性形語尾の-tā は、BEGADKEPAT の原則に縛られず、常に摩擦音-thā となります。例えばamtā も、t の前は子音ですがamthā として発音されます。
ですが、これにはさらに例外があり、女性形語尾-tā の前の子音がt であるとき、二重子音が発生するため摩擦音になりません。例えば、mdittā のようになります。
- 人称代名詞・接尾形 二人称複数-kon、-kēn
人称代名詞・接尾形の二人称複数-kon 、-kēn は常に摩擦音となります。つまり男性形だと-khon 、女性形だと-khēn になります。
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